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モーセ五書は「数字」まで計算して書かれている? 聖書に見られる驚くほど精密な構造

聖書を読んでいると、ときどき「これは単なる偶然なのだろうか?」と思うような構造に出会います。

BS NOTE

モーセ五書について、数字や構造など、すごく考えて作られていると聞いたことがあります。
なにがすごいと言われているのでしょうか?

特にモーセ五書、そして創世記には、数字・単語数・繰り返し・文章の配置などに、非常に興味深い規則性があります。

今回は、「モーセ五書は数字や文字数まで考えて作られていると聞いたことがある」という疑問から、実際にどのような特徴があるのかを見ていきます。


目次

質問

モーセ五書について、数字や構造など、すごく考えて作られていると聞いたことがあります。
なにがすごいと言われているのでしょうか?


確かに、モーセ五書には興味深い数的・文学的構造があります。

ただし、この話を考えるときには、

① 本文そのものから確認できる構造

と、

② 後から発見された「聖書暗号」のようなもの

を分けて考えた方がよいと思います。

まず、比較的はっきり確認できるものから見てみましょう。


1.創世記1章には「7」が繰り返し登場する

最も有名なのが、天地創造の記事です。

創世記1章では、

  • 6日間の創造
  • 第7日の安息

という構造になっています。

しかし、「7」が登場するのは内容だけではありません。

ヘブライ語本文を見ると、文章そのものにも「7」を意識したと思われる構造が確認できます。

たとえば創世記1章1節、

はじめに神が天と地を創造された。

という最初の文章は、ヘブライ語では7つの単語からできています。

さらに、その文字数は**28文字(7×4)**です。

そして2節は**14語(7×2)**になっています。

創世記1:1〜2:3全体を見ると、「7」という数字が何度も現れます。

内容数
創世記1:1の単語数7語
創世記1:1の文字数28文字(7×4)
創世記1:2の単語数14語(7×2)
「神(エロヒーム)」35回(7×5)
「良かった」という表現7回
第7日について記された創世記2:1〜335語(7×5)

つまり、

「神が7日という秩序によって世界を完成された」

という内容だけでなく、

その物語自体にも「7」というリズムが組み込まれている

ということです。

これはかなり興味深いポイントです。


2.「7」はモーセ五書全体へ広がっていく

さらに面白いのは、この「7」が創世記1章だけで終わらないことです。

天地創造では、

6日働く
↓
第7日に休む

という構造でした。

これがイスラエルの生活にも適用されます。

7日ごと

6日働き、第7日は安息日。

7年ごと

6年間土地を耕し、第7年には土地を休ませる「安息年」。

7年 × 7回

7年を7回繰り返すと、

7×7=49年

になります。

その次の年が「ヨベルの年」です。

つまり、

7日
↓
7年
↓
7×7年

という形で、創造のリズムがイスラエル社会全体に拡大されています。

創世記1章の天地創造は、単に「世界がどのようにできたか」を説明しているだけではなく、モーセ五書全体の「時間の秩序」の基礎にもなっているわけです。


3.「10」という数字も重要

「7」と並んで興味深いのが「10」です。

創世記1章では、神が言葉によって世界を造っていきます。

「光、あれ」

「水の間に大空があれ」

といった神の発言です。

これを伝統的には、

「十のことばによる創造」

として数えることがあります。

そして後に登場するのが、

十戒

です。

ヘブライ語では十戒を、

「十のことば」

と呼びます。

すると、

神の十のことばによって世界が秩序づけられる

そして、

神の十のことばによってイスラエルの生活が秩序づけられる

という対応が見えてきます。


4.系図も「10世代」で区切られている

創世記の系図にも面白い構造があります。

大まかに見ると、

アダム
↓
10世代
↓
ノア

そして、

ノア(セム)
↓
10世代
↓
アブラハム

となっています。

つまり創世記の歴史は、

アダム → ノア → アブラハム

という大きな転換点を、「10世代」という単位で区切っているのです。

系図は単なる名前の羅列に見えますが、実際には物語全体の構造を作る役割も担っています。


5.洪水物語は「鏡」のような構造になっている

数字とは少し違いますが、創世記には文章構造そのものが非常に精密な部分があります。

有名なのが、ノアの洪水です。

洪水物語を大きく見ると、

前半と後半が対応する構造

になっています。

たとえば簡略化すると、

A 箱舟に入る

B 7日

C 洪水が始まる

D 40日

E 150日、水が増える

そして物語の中央に、

「神はノアを覚えておられた」
(創世記8:1)

があります。

そこから、

E’ 水が減っていく

D’ 40日

C’ 地が乾いていく

B’ 待つ期間

A’ 箱舟から出る

というように、前半と後半が対応していきます。

このような構造は、

キアスム(交差配列)

と呼ばれます。

非常に重要なのは、その真ん中に、

「神はノアを覚えておられた」

という言葉が置かれていることです。

つまり文章の構造そのものが、

裁き
↓
神はノアを覚えておられた
↓
回復

という神学的メッセージを表しているのです。

これは単なる数字遊びとはかなり違います。


6.「40」という数字も何度も登場する

モーセ五書では「40」も非常によく登場します。

たとえば、

  • 洪水の雨……40日
  • モーセがシナイ山にいた期間……40日
  • カナン偵察……40日
  • イスラエルの荒野生活……40年

となっています。

特に興味深いのが、

偵察40日
↓
荒野40年

という対応です。

民数記では、偵察した1日につき1年として40年の荒野生活が宣告されます。

こうした数字は、別々の物語を互いに結びつける役割も果たしています。


7.「12」「70」なども意味を持って使われている

ほかにも聖書では、特定の数字が繰り返し使われます。

12

  • ヤコブの12人の息子
  • イスラエル12部族
  • カナンへ送られた12人の偵察隊

など。

「12」はイスラエル全体を表す数字になります。

70

  • 世界の諸民族
  • エジプトへ下ったヤコブ一族
  • イスラエルの長老

などで「70」が登場します。

聖書では、こうした数字によって、

「これは以前の出来事とつながっている」

ということを読者に意識させる場合があります。


8.ユダヤ人は実際に文字数まで数えていた

さらに興味深いのが、聖書本文そのものの保存方法です。

ユダヤ教の写字生たちは、聖書を非常に慎重に書き写しました。

そのため、

  • 文字数
  • 単語数
  • 節の数
  • 中央の文字
  • 中央の単語

などまで調べられていました。

タルムードにも、

「トーラーの中央の文字はどこか」

「中央の単語はどこか」

といった議論が残っています。

これは、

本文を一文字単位で正確に保存しようとしていた

ことを示す非常に興味深い例です。

現在一般的に用いられるトーラー本文では、約30万文字以上あります。

それだけの文章を、古代から人の手で書き写し続けてきたわけです。


9.「一定の文字数ごとにTORAHが出てくる」という話

ここからは少し注意が必要です。

聖書の数字や文字について調べていると、

「創世記では一定の文字間隔で読むとTORAHという文字が現れる」

という話に出会うことがあります。

ヘブライ語でトーラーは、

תורה

と書きます。

文章の中から一定間隔で文字を拾うと、

ת → ו → ר → ה

となる場所がある、というものです。

こうしたものは、

ELS(等間隔文字列)

あるいは「Bible Code」と呼ばれることがあります。

非常に面白い話ではあります。

ただし、ここについては少し慎重に考えた方がよいでしょう。

長い文章の中で、

  • 何文字間隔にするか
  • どこから開始するか
  • 正方向に読むか
  • 逆方向に読むか

などの条件を自由に変えると、偶然意味のある単語が現れる可能性も高くなるからです。

ですから、

「隠された暗号があるから聖書は神の言葉である」

というところまで主張する必要はないと思います。


特に面白いのは「意味と構造が一致している」こと

個人的に、モーセ五書の数的・文学的構造で特に興味深いのは、次の3つです。

1.創世記1章の「7」

7日間の創造について語る文章そのものに、「7」の構造が組み込まれている。

2.洪水物語の構造

物語の中心に、

「神はノアを覚えておられた」

という言葉が配置されている。

3.数字によって物語同士がつながっている

7、10、12、40、70などの数字が、単独で登場するのではなく、聖書の別の出来事と結びついている。

このあたりは「暗号探し」とは違います。

普通に文章を読んでいても確認でき、しかも文章の意味と構造が一致しています。

そこが非常に面白いところです。


聖書は「何が書かれているか」だけでなく、「どう書かれているか」も面白い

普段、日本語訳で聖書を読んでいると、どうしても「文章の内容」に目が向きます。

しかしヘブライ語本文まで見ると、

  • 単語の繰り返し
  • 数字
  • 語順
  • 対称構造
  • キーワードの配置
  • 系図の人数

なども使って、一つのメッセージを作っていることがあります。

聖書は、

「何が書かれているのか」

だけではなく、

「なぜこの順番で書かれているのか」
「なぜこの数字なのか」
「なぜこの言葉がここに置かれているのか」

まで見ていくと、また違った面白さが見えてきます。

特に創世記は、そうした文学的構造を探しながら読むと、かなり印象が変わる書物だと思います。


※数字の数え方については、採用するヘブライ語本文や区切り方によって多少異なる場合があります。また、「聖書暗号」のような主張については、本文から明確に確認できる文学的構造とは区別して考える必要があります。

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この記事を書いた人

40才で聖書の神を信じた男性47才。子ども時代に教会学校に通うも信じられず、キリスト教を嫌いになる。その他の宗教や哲学を通して生きる意味を探る。その後改めて聖書に出会い信仰を持つに至る。

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